「遺伝子組換え作物は安全」米科学アカデミーが結論

2016.08.25

2016年5月、米国科学・技術・医学アカデミー(The National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine)が、「遺伝子組換え作物:経験と展望」と題する報告書を発表いたしました(原文日本語版要旨。ちなみに日本語訳にはバイテク情報普及会が携わりました)。

GE crops NAS

この400ページ近くにも及ぶ報告書は、生物学、生態学、毒性学、社会学、経済学等の多様な専門性を持つ20名の科学者からなる委員会が、過去20年にわたる1000報以上の文献、賛否双方の立場の80人からのヒアリング、700件以上の公募意見を精査し、およそ2年の歳月をかけてまとめあげました。

報告書では、遺伝子組換え作物のリスクとベネフィットについて、「環境」「健康」「社会」の3つの側面から分析しています。主要な結論を下記にまとめました。

環境

・遺伝子組換え作物から生態系へ「遺伝子流入」が起こり、環境へ悪影響を及ぼした事例は無い。

・遺伝子組換え作物が、生物多様性を消失させるという因果関係は認められない。

・遺伝子組換え作物は収量増加の要因である。ただし、米国農務省(USDA)のデータからは、作物の収量増加のペースを著しく速めたという証拠は得られていない。

健康

・遺伝子組換え作物は、人や動物の健康に対して従来の作物と同様に安全である。

・ガン、アレルギー、自閉症スペクトラム、その他様々な健康被害の発生率を上昇させるという疫学的なエビデンスは一切認められない。

・長期的なデータからも、家畜への健康被害は認められない。

社会

・程度の差は大きいが、概して遺伝子組換え作物は生産者に好ましい経済効果をもたらしている。

・いかなる技術も、そのベネフィットを享受するためには社会システムの整備が重要である。

いかがでしょうか。遺伝子組換え作物については、「知らないから不安」という方も多いのでは無いでしょうか。骨太の論文ではありますが、遺伝子組換え作物について科学的妥当性を知りたいという方は、一読されることをお勧めいたします。

バイオテクノロジー:柳川

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今年は20周年です。なんの?

2016.08.19

ポケモン?コナン?TM revolution?

それらも正しいですが、実は2016年は、「遺伝子組換え作物の商業栽培」がはじまって20周年になります。

1996年にアメリカやカナダなど数か国、合計170万ヘクタールで始まった商業栽培は、2015年には28か国、1億7,970万ヘクタールと、100倍以上に拡がっています[1]。これは、世界の農地面積[2]の実に13%、日本の国土面積のおよそ4.8倍に相当します。

これだけ多くの国々で栽培されていますので、当然日本にも輸入されています。

実は、日本が輸入する年間穀物量(約3,100万トン)の半分以上は遺伝子組換え作物なのです[3]。そして、食用油、しょうゆ、でんぷん、コーンシロップ、家畜の飼料などに利用されています。知らない方も多いかと思いますが、遺伝子組換え作物は、既に私たちの食生活に欠かせない存在になっているのです。

より詳しい情報については、弊社も加盟しているバイテク情報普及会のホームページもご参照頂ければと思います。

バイオテクノロジー担当:柳川

[1] ISAAA(国際アグリバイオ事業団)年次報告書(英語日本語

[2] FAOSTAT, Arable land in 2013

[3] 財務省貿易統計、農林水産省、ISAAA Brief 46: Global Status of Commercialized Biotech/GM Crops: 2013

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BASFとバイオテクノロジー

2016.05.25

化学会社として知られるBASFですが、持続可能な将来の実現に向けて、バイオテクノロジーの研究開発にも積極的に取り組んでいます。現在BASFとして力を入れているバイオテクノロジーは、農業(グリーンバイオ)、工業(ホワイトバイオ)、および規制科学の3分野になります。農業部門では、新規農薬の開発や、植物バイオテクノロジーを利用した遺伝子組換え作物の開発を行っています。工業部門では、生物触媒を利用しての化合物製造や、酵素、生分解性ポリマーの開発などを行っています。規制科学部門では、BASFが開発する工業製品や農業製品の毒性試験や環境に対する影響の評価、さらには、より信頼性の高い評価手法の開発に責任を持って取り組んでいます。

国連の調査によると、世界人口は2015年の72億人から2050年には93億人に達すると予想されています。人口が増大すれば、食料、飼料、燃料の需要も増大します。人口増と共に都市化が進めば、一人当たりの食料消費量も増加します。この需要を満たすためには、40年以内に農業生産を2倍にしなければなりません。一方で、地球上では日本のように水資源が潤沢な地域は少なく、耕作可能地は限られています。また、自然豊かな耕作可能地を新たに農地として開拓することは、環境破壊を招きます。持続可能な解決のためには、限られた農地の中で、農作物の収量をあげることが必要なのです。果たして、そのようなことが可能なのでしょうか?

現在、農作物の1/3が雑草や病害虫により失われているとも言われています。バイオテクノロジーによって、病害虫に強い農作物や、干ばつ耐性の農作物、栄養機能を強化した作物の開発が可能になります。BASFの植物バイオテクノロジー部門は、「Innovation Yields Results(イノベーションが成果を生む)」という信念のもと、持続可能な将来の実現に向けて日々研究開発に取り組んでいます。

バイオテクノロジー担当:柳川

 

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