人知れず断腸の思い。「囲食膜」とカスケードの話。

2019.05.15

皆様、お久しぶりです。
スマホ顕微鏡にはまりすぎて、すっかりブログを忘れていました。九州の上原です。

見てください、蚊の翅って毛があるんです。黒背景にするとカッコイイでしょう。

さて、虫の中には、羽に毛がある子もいれば、腸が二重構造のようになっている子もいます。正確には、「中腸」の中にキチン質の「囲食膜」というものが存在しているのです。で、その役割の一つに、毒素が中腸にて吸収されないようにするフィルタ―的役割というのがあります。カイコ幼虫の実験では、この囲食膜の組織を脆弱化させると、投与したウイルス(NPV)の感染率の向上が認められています。

そして、なんとカスケード(フルフェノクスロン)を投与したカイコの実験では、上述のような「囲食膜の組織脆弱化→ウイルス感染率向上」という結果が得られたそうです。カスケードのキチン生合成阻害は、脱皮だけの話じゃなかったようです。最近では、農業の大害虫ハスモンヨトウでも、組織が脆弱化するところまでは確認できました。

そこで、もしもカスケードによって、ウイルスだけでなく農薬も同じように効きやすくなったら、とっても素晴らしいと思いませんか?

混用して他殺虫剤の効果があがれば・・・

抵抗性昆虫を打破できれば・・・

残念ながら現時点では、カスケードが囲食膜を脆弱化させることによって、混用相手の効果を高めるとは断言できません。しかし、抵抗性が叫ばれているコナガの実験では、単体ではほぼ効果のなかった有機リン系殺虫剤にカスケードを混用すると、飛躍的な殺虫効果の向上が認められました。

囲食膜をボロボロにされて、「はらわたの煮えくり返ったような」虫たちのお気持ちには大変申し訳ないのですが、メカニズムの解明を「断腸の思い」で優先させていただきます。

九州営業:上原

 


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